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*短編SS「ライダーさん、初夢です 前編」

○短編SS:
「ライダーさん、初夢です 前編」




作者:White Snow

*作者から読者のみなさまへ

 この短編SSは、「Fate/hollow ataraxia」のネタバレを多分に含んでいます。
 ご注意ください。


 ……ゴーン、ゴーン。

 鐘の音がする。
 それは響き渡って、暗い山中に反響している。

 篝火に照らし出された柳洞寺。
 やはり、夜の神殿というのはどこか張り詰めた雰囲気がある。

 そこに訪れる多くの参拝客。
 彼らは、新しい年の始まりを祝いに来ている。
 このお山のご神体は多くの崇拝を集めているのだとわかって、人々の信仰を奪われた身としては感慨深くもなる。

「……過ぎたことです」
「どうしたの、ライダー?」
 私の独り言を、後ろにいた凛に聞かれて少し驚く。

「いえ、何でもありません、リン」
「……そう? あ、もしかして緊張してる? わかるわ、失敗したら恥だもんねー♪」
 もしかして、凛は私にプレッシャーを与えているのだろうか。
 ……あいかわらず、人をからかうのが好きなようだ。

「……そう、ですね」
 凛の言う通り、私は少し緊張しているかもしれない。

 元々、私は目立つことは苦手だ。
 こんなことなら断れば良かったと後悔する。

「――せっかく来てくれたのだ。鐘でも突いていくか、衛宮?」
 桜の通う学校の生徒会長――この寺の跡取りでもある柳洞一成からの申し出がきっかけだった。
 それから初詣をしようと柳洞寺に来ていた私達は、ジャンケンで順番を決めて今に至っている。

「そーれ!」
 見れば、私の前の大河が鐘を突こうとしている。

 ……ゴ~~~~ン!!!

「うわっ、少しは加減しろよ、藤ねえ!」
 一際大きな音が響き渡って、士郎が「近所迷惑だ」とたしなめている。
 でも、当のタイガは「いい音~♪」とご満悦で聞いた風ではない。

「はっはっはっ、あいかわらず元気ですなぁ、三代目は」
 このお寺の僧侶である柳洞零観という青年が快活に褒める。

「ありがとー、楽しかったわ、零ちゃん。
 はい、次はライダーちゃんね」
「は、はい……」
 やはり、緊張する。
 タイガから鐘突き棒の紐を手渡される。

「ライダー、がんばってー!」
 先に鐘を突いていた桜が応援してくれる。

「なに、遠慮することはない。思いっきりやるといいですぞ」
 隣にいた零観からアドバイスをもらい、深呼吸して意を決する。

「い、いきます!」
 言われたとおり、思いっきりやってみる。

 ……ゴ~~~~~~~~~~ン!!!!

「おお!?」
 どうやら思いっきり突き過ぎたようだ。

 今までで一番鐘の音が大きい。
 その鐘の音は、山に眠る鳥達も起こしたようで、一時鳴き声で騒然となる。

「はっはっはっ、貴女のような美人に鐘も突かれて、いつもよりも長く揺れておるようですな」
「……失礼しました」
 一番近くにいて被害が大きかったようで、零観の頭はぐわんぐわん揺れていた。

「どうだった?」
 鐘突き堂から降りると、桜が感想を聞いてくる。

「はい、本当に大きな音がするのですね。……少しクセになりそうです」
 まだ手に響く感触が残っている。
 あれだけ大きな音を出すというのは、風切るように走る快感にも通じていて気持ちが良かった。

「うふふ、そうね。私も楽しかった」
 ちなみに、桜の鐘の音は、意外と景気の良い音を出していた。

 ……ド~~~~~~~ン!!!

「――気持ち良かったー♪」
 ……あれは、日頃の鬱憤を晴らしていたような気がする。

 やっぱり、桜はストレスを溜めすぎている。
 今後は、もっと士郎にがんばってもらわないといけないと密かに決意する。

 桜が喜ぶのは、私も嬉しい。
 初々しい士郎が苦労するのは、私も楽しい。
 最近、これは私の趣味みたいなものでもあるのだから。

 ……ゴィ~ン!

「やっちゃった……」
 私の次の凛は、当たり所が悪かったらしく失敗してヘンな音だった。

「……あいかわらずね、姉さんは」
 それを苦笑しながら桜は見ている。

 ――――その視線は温かい。

 ずっと、桜を見ていたからわかる。
 凛を見る目は、以前のようにどこか思いつめたものではなくなっていた。

 その視線は、私が知らない頃の桜。
 当たり前に姉妹でいられた頃、その姉に向けていた視線なのだろう。

 今、長年二人の間にあったわだかまりが癒えようとしているのは、本当に良かったと思う。

「凛、あなたの仇はとります」
「……うぅ、がんばってね」
 涙目の凛の次は、セイバーだ。

 ……ゴーーーーーン!!!

 セイバーらしく、実に鐘らしい鐘の音が響き渡る。

 このお寺の鐘の音は、本当に勇壮だと思う。
 サクラの話では、これは“除夜の鐘”だという。
 人の百八つの煩悩を象徴し、その音の分だけの鐘を鳴らすことでその穢れを払うのだとか。

 なるほど、と思う。
 だから、この国の鐘の音は勇壮でありながら、優しい気がするのだろう。

 私がいつか聞いた故郷での鐘の音は、物々しくて好きじゃなかった。

 ――――銅鑼の音。

 それは、戦を指揮するもの。
 それは、兵の士気を鼓舞するもの。
 それは、敵を威嚇するもの。

 ……そうやって、私――姉妹達を、故郷から誰もいない島に追い立てたのだから――。

「――あけましておめでとう、ライダー」
 少しばかり感傷に浸っていたようだ。
 いつの間にか鐘の音は終わり、新しい年の始まりを桜に告げられた。

「……はい、あけましておめでとうございます、サクラ」
 守ることができなかった私が、今は守りたいと思える桜。
 願いを込めて、私も新しい年の始まりを祝おう。

 ――――どうか、今年も桜が幸せでありますように……。



「――さ、次は神社よ、神社!」
「はいはい、わかってるよ」
 先程の失敗からすでに立ち直った凛は、私達を先導している。

「んふふー♪ 衛宮くんは巫女さん、好き?」
「……何が言いたい?」
 意味ありげな凛に、士郎は赤くなっている。
 あの様子では、士郎は“巫女さん”というのが嫌いではないらしい。

「……そういえば、ライダー」
「?」
 その神社へ行く道中……。

「“除夜の鐘”の他にも、日本には“初夢”っていうのがあってね」
「初夢、ですか?」
「そう、初夢。その初夢で“あるもの”が見られると、いい一年になるんだって――」
 それから、桜に“初夢”というのを教えられた。



 衛宮邸に帰ると、すでに三時を回っていた。

「ふわぁ、少し眠るか……」
 凛に散々振り回されていた士郎は、さすがに疲れた風だった。

 当の凛は、ここには帰っていない。
 凛は、神社に残って“巫女さん”のバイトをしているのだった。

「――稼ぐ、稼ぐわー!」
 神職にあるまじきコトを吐いていたような気がする。

 それはそうと、確かに“巫女さん”という衣装は可愛かった。
 あれなら、多少背の高い私でも似合いそうな気がする。

 ……今度、凛に相談してみようか。

「おやすみ、ライダー」
「はい、おやすみなさい、サクラ」
 疲れた私達は、休むことにしたのだった――。



 ……。
 ……、…………。
 ……、…………、………………。

「……う~~ん、うぅ……」
 少し寝苦しい。
 暗闇の中で溺れている。

 サーヴァントである私は、基本的に夢は見ない。
 いつもは暗闇の中を、ただ漂うにまどろむものだが、この眠りは違っていた。

 そして、上から声が響く。
 重々しい声が――。

『――お前の願い、叶えよう』
 ……誰、ですか?

『あ、オレ? 一応、カミさまだよ。位置づけでは、多分なー』
 ……いきなり軽薄になりましたね。

『ま、実際カミさまなんて、そんなもんじゃん?』
 そんな身も蓋もない。
 私もそれに振り回されてきた人生なので、到底彼らを弁護する気にはなりませんが。

『オレだって、好きでやってるワケじゃねーしな。いつの間にか、こんなことになってるし』
 ずいぶんと投げやりな神……ですね。
 それに、その物言いいといい、その雰囲気といい、いつか前に会ったような……?

『おー、逆ナンかぁ、やるねぇアンタも』
 違います。

『ヒャハ! アンタ、お堅いと思ってたら、けっこう面白いヤツだねぇ、気に入った!』
 ずいぶんと頭のおかしい“神”もいたものですね、貴方は。
 そのような輩、忘れたくも忘れないはずですが、……やはりその雰囲気は覚えています。

『くく、あー笑った。
 本当は人違い、と言いたいトコだけどな……。へぇ、あの状態でオレを覚えてたか?
 ……ハ、けっこう根性あったんだな、アンタ』
 やはり、どこかで会っているのですか……?

『それは忘れろよ、そんなつまんねー思い出はさ。
 今は、それは重要じゃないしさ』
 重要ではない?
 そういえば、先程私の願いを叶えると言っていましたが……?

『そそ。さっきお願いしてたろ、お寺と神社でさ。
 まー、正直、カミとホトケの二股はどーよ、ってか思うけどな』
 ね、願い……?

『うわっヤベ! お願いを叶えるなんて、オレってば、いいヤツ!?
 どうよ、こんな気前のいいカミさまなんて、他にいないぜ?』
 ……自画自賛ですか。

『チッ! ノリ、悪いの』
 ノリで済ませられますか!?
 ……それに、私はあなたに願いを叶えてもらうような願いなどありません。

『それはウソだな。真っ赤な偽りの言葉だ。
 いやいやウソはよくないぜー、なぜならそれは泥棒の始まりだからよ、うん』
 ……な、何ですか。
 何をもって、私の言葉が偽りだと。

『それは、オレが願いを叶えるモノだからだ。
 そのオレに、ウソはつけねーよ』
 ち、違います。私は、私は……!

『……あー、何だか説明すんのも面倒になってきたな。
 そらっ、お前の願いだ――!』
 ま、待ってください!

 …………私の言葉は届かない。

 私の意識が浮上する。
 私の体が浮上する。
 私の名前が浮上する。

 ……そう、桜に召喚され、暗い暗い世界から救い上げられた時のように。



<履歴>
掲載日:2007/01/01


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